公正証書遺言のメリットと公証役場での作成手順をかんたんにわかりやすく解説します。

遺言書の書き方・遺言書の文例集
公正証書遺言書の作り方 手順

公正証書遺言とは

公正証書遺言は公証人が遺言者から遺言の内容を聞き取り法的に内容を確認し、公証人が書面を作成する方式です。
作成された遺言書の原本は公証役場で原則20年(通常は本人の死亡まで)保管されますので遺言書の所在が不明になる事もありません。
公証役場に保管された公正証書遺言は遺言検索システムに登録されますので遺言者の死亡後、相続人は遺言の存在の確認や作成した公証役場で遺言書の内容を確認する事ができます。
自筆証書遺言書にも保管制度が整備されましたが、遺言書としての形式を確認するだけで、遺言書の内容を法的に担保するものではありません。
それに比べて公正証書遺言書は遺言の内容を確実に遂行できる安心・安全な作成方法です。
特に独身のお一人様や子供のいない夫婦・お二人様の相続には必須です。

公正証書遺言のメリットと自筆証書遺言のデメリット

公正証書遺言書は自筆証書遺言と比べて費用がかかりますが、自分の意思を実行する上では公正証書遺言書は改ざんや喪失する事もなく安心・安全な遺言方法です。

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公正証書遺言のメリットと自筆証書遺言のデメリット

公証役場での公正証書遺言書の作成手順

公証役場で公正証書遺言書を作成する場合の手順は下記のような流れです。

公正証書遺言のメリット・デメリット
公証役場での公正証書遺言の作り方の手順

1.財産を整理して遺言の原案を作る

現行の財産を見直しして、不要な銀行口座や証券口座などを整理し、財産目録を作成し、相続人の遺留分など諸般の事情を考慮しながら誰に財産を残すのか検討し原案を作成します。

2.公正証書遺言書作成に必要な書類を用意する

公証役場で公正証書遺言書を作成する場合は下記の書類の準備が必要となります。遺言書の内容によって不必要なものもありますので事前に公証役場に確認しておくといいでしょう。

  • 遺言者本人の確認資料(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 相続人が甥姪等その本人の戸籍謄本だけでは遺言者との続柄が不明の場合、その続柄の分かる戸籍謄本
  • 受遺者の住民票、手紙、ハガキその他住所の記載のあるもの
  • 遺言者の財産を相続人以外の者に遺贈する場合は、住民票、手紙、ハガキその他住所の記載
  • 受遺者が法人の場合は、その法人の登記簿謄本(登記事項証明書)または代表者の資格証明書が必要。(公に認知されている公益の団体の場合は不要です。)。
  • 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(遺言者の財産に不動産がふくまれる場合)
  • 不動産の登記簿謄本 ( 遺言公正証書に、所在や地番等不動産を特定する事項を記載する場合)
  • 預貯金等の通帳またはそのコピー等(銀行等の預貯金口座を特定する必要がある場合)
  • 証人の確認資料(自身で証人を手配する場合は、証人の住所、氏名、生年月日の分かる資料)
  • 遺言執行者の住所、氏名、生年月日が確認できる資料(住民票や運転免許証のコピーなど)

3.公証人と遺言の内容について事前に打ち合せをする

事前に遺言書の内容について公証人と打ち合わせを行います。 公証人の方は多忙のため事前に予約をしておきましょう。 予約の時に必要書類などを確認しておくとよいでしょう。
健康上の理由等で公証人役場まで出向けないときは、有償とはなりますが直轄の公証人に自宅や病院等に出張を依頼する事もできます。

4.証人2人を依頼

公正証書を作成するときに2名の証人の立ち合いが必要となります。
証人は相続時のトラブルを回避する為に弁護士や行政書士など利害関係の無い第三者に依頼するのが一般的のようです。
証人が見つからない場合は有償となりますが公証役場に証人の紹介を依頼する事もできます。
身近の人に遺言の内容をしられたくないと考える方が多いので、公証役場に証人を紹介してもらうケースが多いです。

〇証人になれない人は下記の通りです。

  • 推定相続人や未成年
  • 被後見人や被保佐人
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人

5.公証役場で遺言書を作成

  • 公証人が証書を内容を遺言者と証人に読みあげる。
  • 遺言者と証人が署名捺印する。(遺言者は実印、証人は認め印可)
  • 公証人が署名、捺印し公正証書遺言の完成。
  • 公正証書遺言書は原本と写しである正本、謄本の3通が作成されます。原本は公証役場に保管され、正本と謄本が遺言者に渡されます。

公正証書遺言書作成の手数料

 ■公正証書遺言書・手数料の計算方法

公正証書遺言書の作成の手数料は法で定められています。その手数料は相続人や受遺者が遺言者から受け取る財産額や人数によって変わります。

  • 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し,これを上記基準表に当てはめて,その価額に対応する手数料額を求め,これらの手数料額を合算して遺言書全体の手数料を算出します。
  • 具体例による計算方法は相続人が3人でそれぞれ3,000万円づつ相続する場合(総額9,000万円)は23,000円X3名+11,000円で手数料は80,000円となります。
  • 遺言者が病気又は高齢等のために公証役場に赴くことができない場合,公証人が,依頼人の所に赴いて公正証書を作成する事ができますがその場合の手数料は上記の手数料が50%加算されるほか,公証人の日当や交通費がかかります。

公正証書遺言書の作成費用の一例は下記の通りです。
 ・1000万円 ~ 3000万円  23,000円~
 ・3000万円 ~ 5000万円  29,000円~
 ・5000万円 ~1億円    43,000円~

公正証書遺言書の作成費用の詳細は下記の日本公証人連合会のサイトへ

 👉 日本公証人連合会:公正証書遺言書の作成費用

公正証書遺言書の保管期間と検索

公正証書遺言書の原本は公証役場に保管されます。保存期間は法令で定められており、20年です。公証役場によって異なるようではありますが、作成してから50年間とか作成者が120歳まで保管されるようです。 保管された公正証書遺言書は遺言者の名前、生年月日、証書の作成日等が検索システムに登録されます。遺言者の相続人など利害関係者のみが照会の依頼ができ、公正証書遺言書の有無や作成した公証役場などが確認する事ができます。
また作成した公証役場では遺言原本の閲覧や遺言の正謄本の交付を請求することが可能です。

公正証書遺言書の検索システム
  👉 検索の申請手続きの方法解説ページ
  👉 昭和通り公証役場:遺言検索


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